「コロナの流行に伴い、病院に検査を受けに来る人が増えている」

世間一般の考えは的を射ており、確かに正しい。しかし一方では間違っている。

病院経営の実態と統計を軸にコロナと病院経営の関係性を紐解いていきたい。

 

 

■コロナ罹患患者増加は患者増加につながるかどうか

結論として、多くの病院で患者増加には繋がらない。

 

 

 

以下に統計指標として日経メディカル「コロナの影響による患者増減の調査結果」を引用させていただく

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202003/564922.html

 

コロナ疑いを感じることで受診する患者は増加する一方で、病院内でコロナに罹患する可能性からか、病院受診を敬遠する動きが顕著である為だと考えられる。

緊急事態宣言まで出されると頭の片隅にでも罹患したくない意識が働く人が多いことを考慮すると当然の現象とも言えるだろう。

 

 

一方で、「患者数がほとんど変わらない」が約42%と過半数に迫る値を取っていることにも着目していきたい。

 

 

 

■コロナ患者増加でも患者数の減らない病院の特徴

まず第一のファクターとして内科の有無がある。コロナ疑いの患者係るのはまず内科が大半を占めるであろう。つまり町医者や内科を持つ病院であれば患者が増える(減少と相殺して一定を保てる)可能性は高い。

 

更に言えば、PCR検査(コロナ罹患検査)を行える機関、また、感染症病床を持つ病院についてはより需要が高まることから、減少分よりも増加分が上回ることも当然に考えられる。

 

 

■コロナ流行に伴う病院収益への影響

結論として、コロナ流行に伴う病院収益への影響は大きいと思われる。

コロナの流行で全ての病院需要が高まるわけではないことは数字や実情から見て取れることもあり、病院間の診療報酬差異に繋がってくる。

 

 

病院はこの時代決して安泰な業種ではない。赤字に陥り民間売買やM&Aにて統合される病院は後を絶たない。このことからも経営分析を怠っている、またはデータ分析など能力の劣っている病院は、この非常事態で淘汰されることも現実味を帯びてくると想定される。

 

 

 

 

 

医療現場での集団感染の実例も報告されており、検査や手術の縮小化は今後も状況が落ち着くまで続いていくだろう。

 

果たしてそこで、国や地方自治体が病院経営者の悲鳴、診療報酬間の差異に気が付き、尚且つ診療報酬上の措置を講じてくれるのだろうか。このまま複数の病院が経営不振に陥ったとなれば、コロナが収まってきたときに通常の病院需要を保てるのだろうか、少し疑問なところではないだろうか。