「社労士」って知ってますか?

 

税理士や弁護士、医者、会計士など有名な士業は皆さんご存知だと思います。
その中で少し知名度の低い「社労士」

資格としての難易度は比較的高く、男性も女性も目指す方が多い国家資格ですが、他の士業と比べてパッとしません。
そこで、少し不遇を味わっている社会保険労務士の現状を交えて将来性を考察していこうと思います。


↑社労士バッジ

 

■社労士ってどんな仕事をするの?

社会保険労務士(以下社労士)は労務の専門家です。

学生にも分かりやすいように説明すると、会社という組織に属すると健康保険などの手続きや病気になって会社に行けない場合の傷病手続きなど、様々な社会福祉制度や福利厚生精度があります。
それら社会福祉・福利厚生の「手続き」を生業とするのが「労務」という仕事です。いわゆる手続き業務がメインのどこの会社にもある事務業です。

 

「労務」を行う中で時折職員から聞かれる質問として、

「傷病手当はいつからもらえるの?」
「産休中の支給はどんなのがある?」
「鬱病なったんだけど、どうしたらいい?」
「子供を扶養に入れたいんだけど」
「引っ越ししたけど手続き要る?」
「子供生まれたよー」



などなど。

 

数え切ればきりがないほどの質問を受けます。それらの答えはほとんどが法律により制定されている為、労務担当は労働法から健康保険法、厚生年金法など労務に関わる様々な法律を覚えている必要があります。

それら「労務」に関わる法律の達人が「社会保険労務士」という訳です。

 

労務書類の一つ「傷病手当申請」見本↓(こういう書類を作ります)

 

■社会保険労務士と弁護士の違い?

社労士はろ労働法関係のプロではありますが、弁護士とは違います。

大きな違いとして「裁判ができない」という鉄の掟があります。法曹は裁判をしてなんぼの世界ですが、社労士にその資格はありません。
つまり、社労士は特定の法律の専門家でありながら、労働法においてでも弁護士の下位互換ということです。

 

しかし、悪いことばかりではありません。弁護士は労働争議については社労士と比較して格段に強い地位と知識を持っている方が多いですが、一方雇用保険法や健康保険法、年金法に関しては社労士の方が詳しいことが多いのです。

これは試験内容に起因するのですが、社労士は雇用保険法や年金法が必修ですが、弁護士の資格試験には存在しないのです。
法律は範囲が広いため、全てを範囲することは難しいためです。そこで、弁護士の中には社労士と共同して年金法などの裁判に取り組む方もおられます。

 

 

 

■社会保険労務士の活躍の場所と給与

社労士の活躍場所として当然「労務」がありますが、もっと稼ぎたい場合は「人事」という選択肢があります。

労務は出来ることが前提ですが、「英語」などの語学ができ、社労士の資格を持っていると、実務経験が合わさって悪くない給与を得れる可能性は十分にあるため、社会的評価はそれなりにされるでしょう。

 

また、「独立」という選択肢もありますが、正直なところ厳しいです。
何故かと申しますと、「労務」は調べれば誰でもできるからです。

法律に関しても労務士に頼らなくてもgoogleで調べれば正しい答えが見つけられる時代です。また、社労士に頼らなくても年金機構などに連絡すれば全ての手続きの答えを教えてもらえるのです。
そのような業務にお金を払うのは好景気の時だけです。現状としては新規顧客を見つけるのが難しく、廃業社労士が多いのが現実です。

 

更に悪いことに社労士でコンサルをするという無謀な方もおられますが、正直言ってレベルが低い方が多いように感じます。

筆者は統計を主に業務として働いているのですが、経営に携わる以上数字に強いことが最低条件だと常日頃感じます。
しかし、「コンサル=数字に強い」この常識を無視してよくわからない提案営業をしてくる「社労士」が多いように思います。

このような現実もあってか、社労士にコンサルを頼んでいる企業は滅多にないです。顧問としては労務顧問がメインとなります。
世間一般では社労士は「労務」の専門家であって経営に携わるような数的処理に参加することは難しいかもしれません。数学が苦手な文系受験者が多く、それも致し方なしなのかもしれません。

 

 

 

■社労士の将来性

社労士の将来ですが、はっきり申しまして「暗い」です。

企業内で労務の専門家として生きる道は当然残ります。労務をやる以上、社労士以上の資格は今後も出てこないでしょう。この資格を持っているだけでそれなりの人事担当になれるかもしれない。それくらいのポテンシャルは秘めているはずです。

 

しかし、社労士自体が評価されるかというと、もう社労士が給与に直結する時代は過ぎ去ってしまったのかもしれません。

社労士が会社に何をもたらすでしょうか?安全な労働衛生や正確な手続きをもたらしてくれるでしょうが、会社は正当な労務管理を絶えず求めているわけではありません。

時には不条理な解雇をしなければならない事態も発生し、その時に社労士が「それは間違っている」などと言うようであれば、その答えは正しいながらも、少し冷たい目で見られるかもしれません。

 

また社労士業務は基本的に会社に利益をもたらしません。簡単に言えば手続き屋だからです。
その手続き屋と経理などの原価計算で経営貢献している事務職、どちらが会社から評価を得れるでしょうか?当然の如く後者なのです。

社労士という難しい国家資格保有者であっても、会社の経営に貢献する「努力」や数的処理能力が求められる時代になってきていますので、昔に比べれば将来性は「暗い」と言わざるを得ないかと感じます。

 

 

 

■社労士を目指すべきでない?

上記で書かせていただいたように社労士の将来性は明るくはありません。一方で十分に評価を得られる可能性を持っていることも確かです。

しかし筆者は社労士を目指すことはオススメできません。

その理由は、勉強量に比べて価値がないからです。

 

社労士の勉強はおおよそ1年以上かかると言われています。税理士などに比べると比較的簡単な部類には入りますが、それでも1年以上の勉強期間が必要な難関資格です。

また、試験概要も特殊な一面があります。年金科目などは勉強のしようがあるのですが、「一般教養」という予測できない科目が必修であります。
この「一般教養」には足切り点があり、毎年本気で勉強してきた方が涙を流している現実があります。つまり、勉強をしてもギャンブルな1面がある試験なのです。

 

更に、1年も勉強するならば社労士でなく、ITや簿記の勉強をした方が実社会で役に立つ機会は多いのではないのかと強く感じます。
社労士を必死に勉強して社労士になれたとして、ITや簿記を1年間必死に勉強した人達より社内で活躍できるでしょうか?少なくとも筆者はそう感じることができません。

試験のリスクもさることながら、社労士資格の実用的価値から考えても、社労士を勉強するくらいなら他の勉強を頑張った方が将来性があるように感じられます。
労務に至っても社労士を持っていようがいまいが、大差ないように感じられます。それならば労務実務+会計知識やIT知識があったほうが十分に活躍でき、評価されるに違いないとないとさえ感じます。

 

ホリエモンをいつかのインタビューで仰ってましたが、社労士の業務「IT」に取って変わられていっています。
そこに今からの時代、価値を見出していくことは難しいかもしれないですね。

 

 

 

■まとめ

社労士は間違いなく価値のある資格です。合格した人は相当な努力をした努力家であると尊敬します。
しかし、合格すれば比較的社会的地位を手に入れられるような医師や弁護士、会計士、税理士などに比べると、社労士になった後の努力が人一倍必要な資格なのだと思います。

この記事に関して社労士を真っ向から否定したいわけでは決してありません。これから社労士を目指される方には頑張ってもらいたです。
合格後に次に努力する目標をしっかり定めることが社労士として成功する秘訣だと感じるところが本音です。